アダム・スコット

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シャフトがしなり戻れば良いという風潮

ゴルフ界で見解の相違がみられないシリーズの最後は、最近やたらと耳にする「シャフトのしなり戻り」についてです。
「飛ばすための絶対条件」みたいな扱いになっていて、ちょっと鬱陶しいですw

フェースの反発規制が制定されて以来、ドライバーヘッドの開発には限界が生じてきているために、業界をあげて「シャフトで飛ばしを実現する」みたいな雰囲気で、ステマ乙的にシャフトの話題が目立ちます。

シャフトの「しなり」がインパクトのタイミングと合えば、「しならない」シャフトを使うよりも、間違いなく飛距離が上がります。「間違いなく」と言っているのは、1ヤードかもしれないしw、30ヤードかもしれません。
みのもんたが「ココアは体に良い」と言ってるようなもので、効果がゼロとは言わないけれど、ココアを飲みさえすれば健康になる訳ではないのと似たような話です。

「カネで飛距離が買えるならば、なんぼでも払いたくなる消費者の弱みw」につけこんで、「シャフトがしなれば良い」みたいな最近のゴルフ業界の風潮ってなんなんですかね? (^_^;)
まあお客さんは、1ヤードでも飛距離を伸ばしたいし、メーカーも1円でも多く稼ぎたいしと、win-win(笑)の関係だからしゃーないですね。

そんなにシャフトが「しなり戻る」と飛ぶのであれば、
・試打マシンか何かで、色々な硬さのシャフトを、インパクトのタイミング等を変えながらテストしてみて、
・それぞれの結果を一覧にして、「飛距離が何%アップしました」みたいなデータを出してくれれば説得力があります。

しかしながら、そのような科学的な話は聞いたことがありません
(単発的に当社比8%アップとか毎年のように聞きますけど、例えば230ヤードから毎年8%アップしていったら、10年後の飛距離は500ヤードぐらいになっているはずですw)

科学的な話以外に聞く情報としては、「最新のなんとかというシャフトは、ほんまにぶっ飛びますわ〜」とか、情緒的wな話ばかりでございます。

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シャフトがしなる原理

そもそも「シャフトがしなる」という現象は、シャフトにどのような物理的な力が働いているかというと、超要約していえば、慣性モーメントが大きければ「しなる」んですよね。
同じ長さで同じ硬さのシャフトがあるとして、違う重さのヘッドをつけて振ってみれば分かりますが、当たり前ですけど重いヘッドの方がしなりが大きくなります。
重いクラブの方が、クラブを動かそうと思っても、ヘッドが元の場所にとどまろうとしてシャフトがしなるというわけです。

シャフトがしなる現象は、以下の様になります。
・ダウンスイングにおいて、クラブ全体(スイング全体)の慣性モーメントにしたがって、シャフトがしなり始めますが、
・ハーフダウンあたりでコックがリリースされてくると、慣性モーメントが大きくなって、しなる量も増加します(コックがリリースされると、クラブの先端までの距離が伸びるから)。
・インパクト直前に、腰の回転に引きずられて、急激にグリップエンドの向きが左(真上から見て反時計回り)に変わります。
・グリップエンドが急回転することにより、ヘッドからみて相対的にグリップエンドが止まったようになって(カナヅチで釘を打つ直前の手元の動きと同じ)、
・グリップエンドの急回転する動きの反動で、ヘッドが飛球線方向に「しなり戻り」ます。
・シャフトの「しなり戻り」と、インパクトのタイミングが合えば、エネルギーの伝達効率が上昇するという流れとなります。

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ありがちな誤解(その1)

シャフトの「しなり」の話をすると、よく「トップオブスイング(切り返し)でシャフトをぐっとしならせてw、その反作用の「しなり戻り(逆しなり)」を使ってインパクトしましょう」とか聞くんですけど、ほんとにそうなんでしょうか・・?
「切り返しの時に、左手の親指で、シャフトのしなりをぐぐっとおさえる」とか言い人がいますよね。

トップで作った「しなり」って、普通の物体で考えると、しなったらすぐに「しなり戻る」と思うんですけど・・
シャフトが、ぐぐっと意思を持ってw、インパクトまで「しなり戻り」を我慢するのでしょうか? いや、我慢しないと思いますw
クルマだと、揺れを防いだりするために、タイヤにバネがついていたりしますが、そのままだとぴょんぴょんハネてしまうので、ダンパーという装置を用いて、無駄な振動を減衰する仕組みになっております。シャフトにダンバーが装着されているという話は、寡聞にして聞いたことがありません。

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誤解その2

シャフトに「しなり戻り」を発生させるための方法として、「手元(グリップ)を急激にストップさせましょう」と言う人がいます。
言いたいことは分かるんですけど、ほんとにそれでいいんでしょうかねぇ〜?
超有名なレッスンプロさんとかでも真顔でおっしゃっているので、一概に「そんなのおかしい、バカじゃないの?w」とは言いにくいんですけど、正直言って間違っていると思います。

ヘッドから見て、相対的に止まっている状態になれば良いわけで、
・例えば、カナヅチで釘を打つ場合は、「手元を止める」というよりも、動きの方向を変えて、先端の鉄の部分を走らせているような気がするし、
・魚釣りで遠投をする時なども、釣り竿の手元の動きを止めるというよりも、手元を体の方に引き込んで、先端のスピードあげてるような気がしております・・

ゴルフの場合も、釣り竿の動きと一緒と考えていて、ハーフダウンからインパクトにかけてグリップエンドを左腰方向に引き込むことで、ヘッドを走らせていると解釈しております。
単なる私の一つの意見でございますので、間違っておりましたらお許し下さい。

ただ、「しなり戻り」の話は、スイングの最終段階みたいなもので、受験勉強に例えれば、暗記科目の細かい話をしているようなものです。
その前にもっと基本的な技術(ビハインドザボールやインサイドインなど)を、マスターする方が大切だと思います。

下半身リードで、コックを維持しながら、体の中心線にグリップを入れてスイングすれば、特段「しなり戻り」などを意識しなくても、勝手にシャフトが「しなり戻る」はずです。
「手元を急激にストップして、ヘッドをびよ〜〜んと走らせる」とか、検討するまでもないと思います〜(笑)。

 

投釣りのイメージで、左サイドにグリップエンドを引き込む

投げ釣りのイメージで、左サイドにグリップエンドを引き込む

 

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あと、デジカメ特有の「ローリングシャッター現象」も誤解のもとになってますよね。

高速で動いている物体をデジカメで撮影すると、イメージセンサーのハジから順番に記録していくので、画像の上と下でシャッターのタイミングずれてしまい(書き込む時間がずれてしまい)、被写体が歪んで見えるという現象でございます。

ローリングシャッター現象