M-Tracer ナチュラルアンコック

エムトレーサーでは、ナチュラルアンコックというデータが測定できます。トップからインパクトにかけて、グリップスピードの変化を数値化したものです。

イ・ボミ

トンカチでクギをうつときに、手元側のスピードが遅くなると、逆にヘッド(トンカチの鉄の部分)のスピードが上がるのと同じ理屈で、ゴルフスイングも、グリップ側のスピードが遅くなると、逆にヘッドスピードが上昇します。

ダウンスイングにおけるグリップエンドの最大速度が仮に 10(m/s) だとして、インパクト時のグリップスピードが 6(m/s) まで減速したら、スピードが40%ダウンしておりますので、この値(減少率)がナチュラルアンコック「40」と表されます。

ナチュラルアンコックは、ダウンスイングにおけるグリップスピードの減少率をあらわしたものです。下図のイボミさんのグラフを見ると、グリップスピードが最大速度のところからインパクトまでに、43.4% 減速していることが分かります。

一般のアマチュアのかたは、ナチュラルアンコック(グリップスピードの減少率)30%以上を目標にされると良いそうです(エプソンの見解)。

イ・ボミ

手打ちのアマチュアかたは、グリップスピードが減少しない場合があります。トップからインパクトにかけて、グリップスピードが上昇し続けており、その場合、ナチュラルアンコックはゼロとなります(グリップスピードの減少率がゼロ)。このようなかたは、インパクトで手元が左に流れてしまい、フェースが開いてスライスがとまらなりがちですのでご注意ください。

あと、プロ(イボミ)とアマの違いに、ダウンスイング初期のヘッドスピードとグリップスピードの関係があります。プロは、ヘッドスピードとグリップスピードが同じ速度で上昇しているのに対し、アマは、ヘッドスピードがグリップスピードよりも先にスピードが上昇してしまうケースが多いです。

これは、キャストしてしまい(アーリーリリース)、ダウンスイング初期に、手でクラブを押している可能性が高いので、一度エムトレーサーで確認してみてください。

イボミ

アマチュアのかたがナチュラルアンコックを良くするにはどうすれば良いのか・・?まずは、ナチュラルアンコックの定義をしっかり理解して、グリップスピードを減少させる意識をもつことからスタートです。

ゴルフスイングは、大きな1つの円運動ではなくて、腕の回転と(1つ目の振り子)、クラブの回転(2つ目の振り子)が連結しております(二重振り子)。

連結部のスピードが減少することで、2つ目の振り子の先端が加速します。腕とトンカチの関係でもよいし、サッカーでボールを蹴るときの足の動きをイメージしても良いと思います。蹴る直前に腿の動きが止まって、膝下のスピードが上がります。

キャンディボールゴルフの竪琴バリバリ君などを使って腕の動きをおさえるドリルは良いと思います。

デリバリーポジションからインパクトにかけて、グリップエンドを体のほうに引き込む動きも大切です(白縄滑車ドリル)。

ゴルフのスキルアップに共通していますけれど、小さな振り幅で、かつ、ゆっくりとしたスイングスピードから徐々に習得していってください。ハーフスイングならOK、スリークォーターまでOK 等々、段階をふんでいくことが大切です。

逆に、大は小を兼ねる的に、ドライバーの万ぶりをしながらスイングづくりをされているかたを練習場でよくみかけますけど、お気持ちはわかりますが、たぶん悪い癖が固まるだけだと思います。なるべく小さい動きから着実にマスターしていってください。

スキー場のリフトが180度向きをかえるときの動きをゴルフに当てはめると、グリップが減速してヘッドがリリースされる動きと共通します。ぜひ動画もご参考になさってください。