アプローチショット(ゴルフの基本)

ゴルフの目的は、ボールを遠くにまっすぐ飛ばして、最小のスコアで上がることです。

男性の方ですと、400ヤード( ≒ メートル)弱ぐらいの距離のグリーンまで2打で届かせて、2回パットを打って合計パー4で上がるのが標準的な形式になります。

1打目をドライバーで230ヤードぐらい飛ばして、2打目が例えば7番アイアンなどで130ヤード打ち、グリーンに乗せるのが理想ですけれども、普通はなかなか2回で乗せることができません。

世界のトッププロでも、パーオンと言いますが、3ホールに2ホールぐらいの割合でしか2回でグリーンに乗せることができません。残りの1回はどうするかと言うと、アプローチショットを打ちます。

アプローチショットというのは、フルスイングではなくて、グリーン(ピングラッグ)にアプローチする(近づく)ためのショットになります。

ゴルフは、コースに14本のクラブを持ち込むことがルールで許されますが、パターを除いて一番短いクラブ(サンドウェッジ)でフルショットをすると、男性は80ヤードぐらいボールが飛びます。

グリーンまでの距離が例えば残り50ヤードの地点に来ているとしたならば、一番短いクラブでフルショットをしたらグリーンをオーバーしてしまいます。その時に、振り幅やスピードを調整して、「ちょうど50ヤードの距離を目標に打つ」のがアプローチショットになります。

ゴルフは、テニスや野球などと違って、打つたびにクラブの種類が変わります。長い距離を打つ時には長いクラブを持ち、短い距離の時には短いクラブを持ちます。

同じスイングをしながら、クラブをかえて飛距離を調整することを大原則としていますが、クラブがかわると、持っている感覚が変わってしまうため、それぞれのクラブごとの練習が必要になる難しさがあります。

また、アプローチショットになると、フルスイングではなくて、「距離を自分でコントロールしなければならない」という別の難しさがございます。

どうやって飛距離をコントロールするのかというのは、経験と勘とセンスを養っていくしかないんですけれども、どんなふうに考えてアプローチショットを打っていくのかという話を続けていきます。

アプローチショットに唯一の正解はない

アプローチショットはフルスイングではないので、極端なこと言うと、力は必要ありません。

もちろん「力は必要ない」というのは言い過ぎですけれども、お子様やお年寄り、女性の方でも、例えば残り30ヤードの飛距離(アプローチショット)を打つさいには、筋肉隆々の男性と対等の勝負が出来るわけです。

逆に言うと、言い訳無用と言いますか、練習すれば上達しますが、練習しなければいつまでたってもセンスが磨かれません。上級者の方は、フルショットの練習よりも、ひたすらショートゲームといいますが、アプローチやパターの精度を上げる練習をされる方が多いです。

アプローチショットは感覚とセンスの領域なので、「唯一これが絶対の打ち方」という正解はございません。

ボールを遠くに飛ばさないので、筋肉の力を最大限(最大効率)にクラブやボールに伝える必要がありませんので、極端なこと言うと、どんな打ち方をしても構いません。毎回毎回イメージした通りの飛距離を、再現性が高く実現できれば良いわけです。

アプローチショットを打つにあたって、大きく三つの考えがあります。

①ボールを転がすのか、浮かせるのか?

②複数のクラブを使うのか、一本のクラブを使い回すのか?

③機械的に飛距離をコントロールするのか、センスのみに頼るのか?

大きく分けてこれら三つの分類のなかで、どれが自分のイメージに合うのかを組み合わせて、練習で感覚をつかんでいただければと思います

転がしは、練習しにくいのが難点

アプローチショットに強い力は必要ありません。感覚をするどく再現性の高いショットを打つことができれば、極端なことを言うと、どんな打ち方をしても良いですし、正解はひとつではありません。

個人個人で最適な方法ををつかんでいけば良いと思いますが、一応、お勧めしている方法としては、クラブ(番手)をある程度決めて(例えば58度のウェッジ等)、ふわっと浮かせるようなアプローチショットです。

アプローチは、
・ボールを転がすのか、浮かせるのか?
・打ち方を固定してクラブを変えるのか、あるいは、クラブを固定して打ち方を都度変えるのか?

色々な方法があるとは思いますけれども、感覚を磨く必要があり、練習しなければ上達しません。練習環境も考慮するポイントの1つとなります。

例えば、ホームコースのアプローチ練習場が充実しているような方でしたら、安全なのは、
・転がして
・打ち方を固定して、都度クラブを変える方法が良いと思います。

ただ、なかなかコースに行く機会がなくて、月に数回程度練習される方が多いと思いますけれども、打ちっ放し練習場でアプローチを練習するにあたっては、転がしの場合、距離感がなかなかつかめません。

打ちっぱなしで練習をするためには、なるべくふわっとあげて、着地してからボールが転がらないアプローチショットを打って、距離感をつかんでいく練習が大切になります。

アプローチで使うクラブは、ロフトが立っていると、ボールとコンタクトする時に上下のズレに強くなります。

しかし、サンドウエッジのようなロフトが寝ている平べったいクラブは、
・ボールの下をくぐってしまったり、
・トップして、予想以上の飛距離が出てしまうリスクがあります。

それらのリスクを踏まえて、練習環境との制約を考慮した上で、ご自分の感覚に合った打ち方を身につけていただければと思います。

アプローチで使うクラブは、パターが第1候補

アプローチショットは、目標までの距離が近くて短いクラブを使いますので、一見簡単に思えます。ただ、フルショットと違い、全力で振りませんので、クラブに勢いがつきません。ゆっくり振るとクラブがぶれてしまいがちです。

例えば、目標が10ヤードとすると、グリーンが間近に迫っているにも関わらず、ミスをして30センチぐらいしか飛ばなかったりするとメンタルもやられます (´・ω・`)

アプローチを、サンドウェッジで打つことをお勧めしておりますが、注意していただきたい点として、サンドウェッジはロフトが寝ていることです。

フェースが平べったくて上を向いておりますので、インパクト時にクラブが上下にずれてしまうと、
・ボールの下をだるま落としのようにくぐってしまったり、
・トップしてグリーンをオーバーしてしまうようなリスクがあります。

アプローチをする時にまず考えていただきたいのは、なるべくロフトが立っているクラブで打てるかどうかです。

一般的に、一番ロフトが立っているクラブはパターになりますので、パターが最優先の選択肢となります。

ただ、ロフトが立っているとボールがふわっと浮きませんので、
・ボールとグリーンの間にバンカーがあったり、
・深いラフで草がボーボーになっていたりすると、
ボールを転がすことができませんので、その時には、次善策としてサンドウェッジを使っていただく手順になります。

自然に打ったときの飛距離を測定しておく

アプローチショットに、力(ちから)はいりません。再現性が高い打ち方を模索して、練習で精度を上げていただければと思います。

コースやアプローチ練習場など、あまり芝生の上で練習ができない方にお勧めしている方法は、
・ボールが転がらないようにロフトが寝たサンドウェッジを使って、
・ボールをふわっと浮かせるようなアプローチショットです。

使うクラブを固定して、長さやバランスや重さなどを体に馴染ませて、距離感を磨いていきます。アプローチショットは、状況によって、短かければ3ヤードとか、長ければ80ヤードぐらいまで、距離を打ち分ける必要があります。

お上手になられましたら、10ヤード刻みぐらいに打てるのが理想ですが、最初はなかなか難しいと思います。

腰から腰までのハーフショットのイメージで振ったときに、ご自身の飛距離がどれくらいなのかを、感覚としてつかんでください。

ゆったり自然に振った時に何ヤード飛ぶのか?  30ヤードなのか50ヤードなのか。人によって違うと思いますし、どのクラブを選択したかによっても違ってくると思います。

ある程度の絶対的な距離感を掴んでいただき、
・基準となる距離よりも長い距離を打つ場面なのか、あるいは、短い距離なのか、
・基準値よりも大きく振るのか小さく振るのかを調整して、
アプローチショットを打っていただければと思います。

アプローチは足で打つ

アプローチショットの基本の確認をします。まずはグリップです。左腕をだらんと下げると、左手の親指が右足の方を向くと思います。その左手の角度をキープしたままクラブを握ってください。

ヘッドが右足の前ぐらいにきます。それだとフェースが、目標方向に対して右を向いてしまいますので、フェース面を目標方向に向けて(フェース面の角度を優先して)、体の角度を飛球線に対して斜めにします。

アプローチショットはゆっくり振りますので、意外とクラブが誤作動をしてしまいます。

特に手先を使うと、手は器用すぎるために、スイングの再現性が落ちてしまいます。なるべく手を使わないようにするのがポイントです

手を動かさないように、体の形を変えてボールを打ちます。最初は難しいと思いますが、慣れてくると、手先の小さい筋肉ではなくて、腰などの大きくてあまり神経が行き届いていない筋肉を使うことで、プレッシャーなどにも強くなり、再現性の高いアプローチショットが打てるようになります。

竹ぼうきのイメージで、ヘッドを低空飛行させる

アプローチショットは、手首の角度をあまり変えずに(フェースが右を向いたり左を向いたりしないように)、そーっとボールを運ぶようなイメージで打つのがポイントです。右利きの方は右手が器用で、目標が目の前にあると、どうしても手先でちょこんとボールを右から左にはじくように打ってしまいがちです。

なるべく地面スレスレの低いところをヘッドが長く通るようなイメージにしたいところです。

逆に、グリップエンドを支点にして、振り子のようにクラブを扇形に振ってしまうと、振り子の最下点(一点)でしかボールとコンタクトできなくなってしまいます。

そうではなくて、竹ボウキで地面をはくように、ヘッドをなだらかに低空飛行させます。インパクトゾーンが長くなり、ミスヒットに強くなります。

右手が下、左手が上の状態をキープして、体と足を使い、手首の形をなるべく変えないように、ボールを運ぶように打ってみてください。

ワインをこぼさないように、右手の手のひらで運ぶイメージ。

アプローチショットは、フェース面が、なるべく右を向いたり左を向いたりガタガタしないように、そーっと面が安定した状態でボールを運ぶように打つのがポイントです。

フルショットの時には、ドアノブを右に回したり左に回したりするようなアームローテーションと言われる「腕を左右に回転する動き」が入ります。

腕を回転させた方がヘッドスピードが上がり最大飛距離が伸びますが、アプローチショットは遠くに飛ばす必要がありませんので、アームローテーションをあまりいれたくありません(いれるとフェース面が動いて再現性が落ちてしまいます)。

チェックポイントとしては、左手の親指と人差し指の間にワイングラスを挟んで、なるべく中のワインがこぼれないようにそーっと振ります。

もちろんヘッドがグリップより下についているので、どう振ってもワインはこぼれるのですが、アームローテーションを激しくいれてしまうと、すぐにワインがこぼれてしまいます。

なるべく「右手が下、左手が上」の形をキープしたまま、体の形を変えて、足でボールを運ぶように打ってください。一昔前に流行った古武術(ナンバ走り等)をゴルフに当てはめると、腕とクラブで作る平行四辺形をイメージします。

平行四辺形がひっくり返らないように、アームローテーションをあまりいれずに、「右手が下、左手の上」の形をキープした状態で体を使います。

古武術の用語でいうと「井桁崩し(いげたくずし)」というそうですが、ご参考までにそのようなイメージも持っていただければと思います。

(おまけ) 超簡単 オートマチック左右対称1重振り子アプローチ

練習時間があまりとれなくて、急遽コースに行かなければならない初級者さん向けの、簡単にできるアプローチショットをご紹介いたします。

短い距離にしか対応できないのですが、30ヤードぐらいまでならなんとかなります。

打ち方は単純で、
・頭を動かさずに、
・足も動かしません、
・腕とクラブを一体化させて、
・腕とクラブを大きな一つの振り子に見立てて、
・左右対称に振ります。

腕のローテーションやコックなども不要なので、とてもシンプルです。

打ちおわったあとも、ボールがあった場所を見続けるぐらいの気持ちで頭を動かさなければ、とりあえずボールが前に飛んでいくと思いますし、腕を左右に振っているだけなので、飛びすぎるリスクも防げます。

応急処置的なスキルになってしまいますが、ぜひご参考になさってください。