フェースローテーションの変遷?
■概要
ゴルフスイングには、ローテーション(アームローテーション、フェースローテーション)が必要かどうか?という議論がよく起こります(最近は、昔ほど聞かなくなりましたが)。
結論としては、ローテーションは必要であると考えております。
単純な話、(ここ数年の範囲ですが)ローテーションをしていないトッププロを見たことがないからです。情況証拠的にローテーションは必要だと思います(必要だと考えざるを得ません)。
もちろんライン出しやアプローチショット等は除きます。
ちなみに、10年ぐらい前だと、フォローでローテーションをあまりしないプロもいたそうです。
■クラブフェースは開きやすい設計になっている?
ゴルフクラブの重心は、シャフトと一致していないために(重心がシャフト上にないので)、フェースが開きやすい特性をもっております。
やじろべえ?(シーソー)のように、指でシャフトをバランスさせると、ヘッドが下を向くことで分かります。
(ただし、「フェースの回転軸がシャフトにある」と誤解している弊害もあると思います。実際のフェースの回転軸は、グリップエンドどクラブの重心を結んだ重心線になります。仮想的にその線上(厳密いうとクラブ本体の重心位置)に指を置けば(物理的に置けませんが)、「フェースが常に下を向く」という事象は起こりません。なぜなら、重心点は、全体がバランスする箇所だからです。例えば、指先で下敷きの中心を、下から支えているような状態になります)
初心者のころは、ヘッド(フェース面)をコントロールするのが難しくて、誰もがスライスに悩まされます。
ただ、ゴルフバーとかでチラ見している限り、本当の初心者は、腰から腰ぐらいまでしかヘッドを動かさないので、意外とスライスしないものです。
少しゴルフに慣れてきて、(能動的に)クラブを手で上げるようになると、スライスし始める人が多いように思います。トップオブスイングでシャフトがクロスして、左手の手首が甲側に曲がりがちです(フェースが開いてしまいます)。その形でダウンからインパクトに入ると、フェースをスクエアに戻せなくなってしまうのだと思います。
(アウトサイドインも原因の1つです)
スライス対策につきましては、こちらの記事をご覧ください。
■スライスの暫定対策
初心者が悩むスライスを治す方法として、「なるべく(テークバックで)フェースを開かないようにスイングしましょう」という教え方があります。
ストロンググリップ(フックグリップ、アドレスで左指の根元の関節が3つぐらい自分から見えるグリップ)に指導する場合が多いです。
ただ、スライスは治るのかもしれませんが、根本的な解決になるのかどうか疑問が残ります(飛距離が落ちてしまうのではないか?、単純に振りにくくないか?等)。
しかし、10年ぐらい前の話ですけど、プロの間でも、フェースの開閉をおさえて打つ方法が流行しました。
「21世紀のイマドキの最新クラブは、ローテーションなど必要ない。むしろ弊害の方が大きい」といった風潮だったそうです。
■昔はプロもフェースの開閉をおさえていた?
オールアバウトの記事を引用します(2006年10月20日)
『最近のトッププロのスイングの特徴として、フォローでフェース面がやや上を向いていることがあげられます。トップオブスイングはコンパクトになり、フォローではフェースを返さないため、クラブフェースを出来るだけ動かさないように保ち、ボールを運んでいるかのようなスイングの選手が主流となっています。
以前は、フォローではフェースのトゥが真上を向いてスクエア(まっすぐな状態)だといわれていたものですが、最近はフェースの動きを抑えるということで、フォローで手首を返さず、フェースをまっすぐ出していくようなスイングがトッププロのトレンドのようです。
ゴルフスイングのトレンドが変われば、練習器具も進化していきます。』
http://allabout.co.jp/gm/gc/213158/2/
■原理原則がトレンドに左右されるのか?
プロのスイングを客観的に描写するだけではなくて、「ゴルフスイングのトレンド」とか言ってしまうあたりが、ちょっとどうかと感じてしまいます(笑)
ゴルフクラブは、ヒッコリーシャフトの時代から常に変わり続けておりますが(もっと言えば、数百年レベルで変わり続けておりますが)、スイングの原理原則は特段変わっていないと思います(そうじゃないと原理原則とは言わないし、形が違うアイアンとウッドで、スイングを変えていたらきりがないし)
ベン・ホーガンが50年前にまとめたスイング理論(著書「モダンゴルフ」)は、21世紀の現代においても有用です。「モダンゴルフ」でゴルフを覚えたダフナー選手のように、メジャーに勝つ選手が出続けているからです。
■なんちゃって理論が減らない理由
ゴルフのコーチにも生活がありますw。「名刺代わりに、独自の「理論」とやらを語らないと、存在意義がなくなってしまう」と思う気持ちも分かります。
根本的なことを言おうと思うと、大事なことはホーガンが語りつくしているし、「新理論」を発表しようと思うと、うわっつらな話しか残っておりません。そのため、「新理論」は、たいがい普遍性にかけた「なんちゃって理論」になってしまうのでしょう。
ホーガンは、ローテーション(左腕の外転)の必要性を強調しております。「左腕の外転こそが、優れたプレーヤーとそれ以外の違いであり鉄則である」と語っているぐらいです。
スイング作りをしようと思ったら、まずは、基本的な技術として、ローテーションを「自分のもの」にしてから、次のステップを考えるのが良いのではないでしょうか?
「守破離」ではないですけど、原理原則をきちんとおさえた上で、そのあとに応用する流れといいますか、、、
■シャットフェース原理主義?
昔、「ローテーションは不要」と言っていた人が多かったのは、「ローテーションするとボールが真っ直ぐに飛ばない人」が多かったからではないかと考えております。
特に、インサイドアウトでフックで飛ばしていたような方は、ローテーションをするとチーピン等が出まくっていたのではないでしょうか?
そうなってしまうのは、ローテーションが悪いのではなくて、ヘッド軌道がインサイドアウトすぎることが、そもそもの原因のはずです。
ニオいの原因は元からたたなきゃダメです。そこ(軌道の悪さ)に目をつぶって、ローテーションを悪者にするのは、おカド違いかと思います。
「ローテーション憎し」がこうじてなのか、「とにかくフェースは閉じる、シャットこそが至高」みたいな論調が、「21世紀のイマドキ」も、ゴルフ界の一部でみられます。
そのあたりの話は、また明日以降に続きますー・・(なげーよw)