振り遅れとは?

振り遅れについて、動画でご説明をさせていただいております(再生リストのリンク)。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLDnNzUzOkLPKbLZk1wQiwzHSQsS2zCGjY

概要

振り遅れ

ゴルフでよく話題になる用語に「振り遅れ」があります。「振り遅れ」とは、(言わずもがなですが)、野球やテニスなどで、飛んできたボールに対して、打つタイミングが遅れる場合に使います。インパクトのタイミングが遅れた結果、食い込まれて打球が右に飛んでいきます。

ゴルフは、止まっているボールを打つにもかかわらず、「振り遅れ」があるのは本来おかしな話です。しかし、一般的に「腰(体)の回転に対して手が遅れる」ことを、ゴルフでは「振り遅れ」とよんでおります。

普通に考えて、「腰(体)の回転に対して手が遅れる」のであれば、ボールが左に飛ぶはずです。なぜなら、通常のショットよりも、腰や肩が左に(タイミングが早く)回っているからです。

宮里優作プロが、2013年の日本シリーズ(18番)のティーショットを左奥にはずしたときに、解説の丸山プロが、とっさに「あ、振り遅れ!」と言ったのが、本当の意味での「振り遅れ」だと思います。

野球やテニスの印象が強いせいか、ゴルフの振り遅れも、「右に飛ぶもの」と、先入観を持っている人が多いのではないでしょうか・・??

理屈の上では、ゴルフの振り遅れは「左」に飛ぶはずなのに、なぜ「右」に飛んでいるのに「振り遅れ」とよぶのでしょうか・・・?

振り遅れという概念はない??

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昔は「振り遅れ」の話をすると、「ゴルフはボールが止まっているのだから、振り遅れなどという概念はない!」という人がけっこういたような気がします。検索すると、「振り遅れはない派」は、もうほとんど見かけないんですね。カリスマコーチ()の江連さんが、「振り遅れではない。打ち急ぎである」と、いつもの言葉遊びをしているぐらいです。

振り遅れでも打ち急ぎでもいいんですけど、、、

・「腰(体)の回転に対する、手の遅れ」に対処する方法として、
・「腰(体)の回転を止めてスイングする」のは本末転倒だと考えております。

「左の壁」の時にも話題になりましたが、ここは議論の分かれるところです。普段、左サイドを固めて打っている方にとっては、「腰の回転を止めて、なにが悪い」と思うかもしれません。

しかし、「ベン・ホーガンの理論が、ゴルフスイングの原理原則」だと考える私としては、「スイングのエンジンである左腰」をとめて打つのは、いまひとつ納得がいきません。

「お前の納得なんてどーでもええ」とお思いかもしれませんが・・

まずは、「なぜ振り遅れが起きるのか?」という、そもそもの根本原因や解決策等、検討したいと思います。

大くのアマチュアが振り遅れている

タイガーウッズも、けっこうすっぽぬけて、右の林に打ち込みます。そもそもゴルフの「振り遅れ」とはいったいなんなんでしょうか・・?

腰(と肩)の、左への回転が先行して(左を向いて)、体の回転に対して手が遅れておりてインパクトするのなら、ボールが左に飛んで行きそうなものです・・。なぜなら、手がいつもより遅れておりてくる分、インパクトの時点で、腰や肩が左を向いている(フェースが左を向いている)蓋然性が高いはずです。

タイガー、右方向を不安げに見ておりますw
右方向を不安げに見ているタイガー

アマチュアのスイングの実像

超上級者以外(アマチュア)のスイングの多くは、以下の様な流れになっております。

・90%ぐらいのアマチュアは、アウトサイドからクラブが下りてきます。
・上からクラブが下りてくると、カット軌道になり、
・コスリ球が右のほうに飛んでいきます。
・どうにかまっすぐ飛ばそうとして、体の回転を止めて、右手を返して打ちにいきます。
・腕のローテーションもおさえて(今度は左に飛ばしたくなくて)、すくい打ちのぽっこん球になってしまいます。

・10%弱ぐらいの自称上級者様は、逆に、極端にインサイドから打ちにいきます。
・いわゆるフックで飛ばす打ち方で、肝心なときにチーピンが出てしまうようなパターンです。

振り遅れを防ぐために腰を止めるのは本末転倒

アウトサイドインの人も、超インサイドアウトの人も、さかのぼってスイングを見てみると、振り遅れている人が多いです。そのため、振り遅れに対処するために、腰の回転を止めて、上半身で打ちにいきます。

腰(下半身)の左への回転を止めて、上半身だけで打つスイングは、物理的に振り遅れることはありません。「下半身の動きに対して、上半身の動きが遅れること」を振り遅れというのですから、「下半身が止まっていれば、上と下とでタイミングがズレることはない」という理屈でございます。

回転体が2つ(上半身・下半身)に分かれているので、タイミングがズレるのであって、上半身だけが回転するのでしたら、振り遅れることはありません。遅れる対象がないからです。

タイガーのドライバーショットが、たまに右にすっぽ抜けるのは、振り遅れとは違うと思うんですよね。トップが浅いのが原因だと考えております。振り遅れとは逆の現象といいますか。。

トップが浅くなった時に、手が早く下りてきて、いつもより体がまだ右を向いているタイミングでインパクトしてしまい、右に飛んでいるような気がしております・・

タイミングが早くて動きが窮屈な状態で打つと、ミスショットになると瞬間的に判断して、クラブから手を離しているのでしょうか?(いずれにせよすごい技術です)

手(腕)は、肩のラインまで上がります

アマチュアが振り遅れる根本原因は、テークバックで、手と体の同調がハズれてしまうから

なんちゃってハンドファースト

「なんちゃってハンドファースト」。ハーフダウンのグリップエンドの位置はアゴの下になります。
「なんちゃってハンドファースト」。本来、ハーフダウン(P6)でのグリップエンドの位置は、アゴの下にきます。

もう1つの振り遅れ

野球の振り遅れとは起きている状況が異なるにもかかわらず、ボールが右に飛んでいく現象だけを見て、ゴルフにおいても「振り遅れ」とよばれる事象があります。

手だけでハンドファーストを作ろうとしている方がいらっしゃいます。いわゆる「なんちゃってハンドファースト」です。もともとは、ボールに対して振り遅れているわけではないのに、自ら振り遅れの形を作っているケースです。

ダウンスイングのタメすぎ問題

正しいハンドファーストで打つ場合は、コックを、ハーフダウンぐらいの位置までキープして、あとはボディターンでスイングします。そうすれば、レイトヒットのハンドファーストになるはずです(腰が、アドレス時よりもインパクト時の方が左に回転するから)。

しかし、手元だけを目標方向に突き出してハンドファーストにしようとすると、ヘッドがインパクトに間に合わなくなります。クラブは、腰の回転に引っ張られて動くのであって、手だけを左太モモの前に持っていくのではありません。

そして、クラブの行き場がつまったような状態になり(ヘッドがインパクトのタイミングに間に合わなくて)、フェースが閉じる時間もなく右を向いて、ボールが右に飛んで行くことになります。

プレインパクト(P6 ハーフダウン)から、ボディターンで打ちに行こうという時に、グリップがすでにボール位置を超えていたら(左(飛球線方向)に飛び出していたら)、打ちたくてもなかなか打てません。その時点で振り遅れていることになります。

最悪のケースだと、フェースターンが間に合わなくてシャンクも出るし、「なんちゃってハンドファースト」は本当に恐ろしいです。

自分から振り遅れようとしている?

「なんちゃってハンドファーストによる右への打ち出し」は、厳密に言えば、本来の意味での振り遅れとは異なる動き(現象)です。回転運動が遅れているわけではないからです。ゴルフは、止まっているボールを打つスポーツなのに、自分からボールにつっこんで振り遅れるって、まぬけな話ですよね。

あと、ビハインドザボールができていない方がいらっしゃいます。ハーフダウン(P6)で、グリップエンドがアゴの下にきた時には、本来、ボールはまだ左(目標方向)にあるはずです(プロはそうなっております)。

しかし、頭が目標方向に飛び出して、ボールはアゴの下あたりにあったりすると、すでに振り遅れていることになります(なんちゃってハンドファーストと同じ状態で、手がボールを目標方向に追い越しております)。

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タイガー・ウッズ

振り遅れの抜本的な対応策

振り遅れの原因

振り遅れの原因は、腕と体の同調がずれるからです。腕と体のタイミングを合わせることが振り遅れの抜本的な解決策になりますし、「なんちゃってハンドファースト」も、振り遅れの大きな要因でした。

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グリップエンドをおヘソの前でキープしながらボディターン

手で打ちにいくと何が問題なのか?

アウトサイドインの手打ちが癖になってしまうと、ボディスイングが難しくなります。

手打ちで、上半身に力が入ってしまうと、作用反作用の法則で、下半身にブレーキがかかってしまうからです(下半身に、右回転の力が働いてしまいます)。

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おヘソとグリップエンドの相対的な位置関係は変わりません

手と体を一体化してスイングするのがポイント

「なんちゃってハンドファースト」を改善するためには、ハーフダウン(P6)からインパクトにかけて、手(グリップ)をおヘソの前あたりにキープしたまま、体(腰)の回転でスイングするのがポイントです。

ハーフダウンあたりまでコックをキープできれば、あとは腰の回転で腕が引っ張られて、自動的にハンドファースト(レイトヒット)になります。アドレス時よりもインパクトは腰が左に回っているので、手とボールの距離が伸びます。

クラブはリリースされ、自然にローテーションするだけです。クラブ(グリップ)を左に引き込むことで(スイングレフト)、シャフトが90度左に急激に曲がってヘッドが走ります。

振り遅れを防ぐためには、テークバックでは、胸の前から手をなるべく離さないようにして(腕と体を同調させて)、ダウンスイングではコックを無理にためすぎずに、腰の回転でスイングすることがポイントです。