グリップ【ゴルフの基本】

ゴルフは道具を使うスポーツであり、道具(クラブ)との接点が大切です。身体とクラブとの唯一の接点がグリップになりますが、初心者さんにグリップの話をするときに、必ずと言っていいほど議論が2つに分かれます。

1つは、ゴルフのグリップは窮屈なんですが、「窮屈で打ちにくくても、最初の最初から正しいグリップにしましょう」という考え方です。あとからグリップを変えると、違和感をおぼえてスイング全体に影響がでてしまうため、最初から、できるだけ完璧に近い形にしておいた方が良いという考え方です。

もう1つは、初心者さんが、がちがちで窮屈なグリップでゴルフを始めると、違和感を覚えてとっつきにくくなるという流派です。「まずは持ちやすいように自然にグリップしましょう。ゴルフに慣れてきたら、改めて正しいグリップにしましょう」という考え方です。

どちらも正論だと思います。

ゴルフを始めるにあたり、生涯スポーツとして、少しずつ上達していくことを含めて楽しみたいという方は、最初から正しいグリップにされると良いと思います。最初の3ヶ月ぐらいは、違和感とのたたかいになると思いますが、それを越えるとあとが楽になります。

逆に、最短最速でコースに行きたい。難しいことを考えずに、とにかくゴルフを楽しみたいだけ、なんていう場合は、違和感のないグリップされると良いと思います。

最初は基本に忠実に → すごい違和感だし持ち方なんてクラブが振れればいんじゃね? → でもなんだかんだいって基本とされる所作はよく考えられていて奥が深いなーなどなど、別に1つの流派に決める必要はなくて、あーだこーだ考えながら色々と試してみるのもゴルフの楽しみ方の1つでございます。

正しいグリップが必要な理由

魚釣りが、「フナに始まり、フナに終わる」というように、ゴルフもおそらく「グリップに始まり、グリップに終わる」ような気がいたします。道具を使うスポーツの中で、これほど持ち方(グリップ)にうるさいといったらあれですけど、細かい話が続くのはゴルフぐらいではないでしょうか・・?

野球のバッターやテニスのように、相手からのボールに対して反射的な動くのではなくて、野球にたとえるとピッチャーのように、とまっているボールに対して、自分から動いていく点で、ピッチャーの変化球も奥が深いですけど、ゴルフのグリップも議論が続きます。

ゴルフクラブは意外に軽くて、最大でも400グラムほどしかないのですが(500cc のペットボトルよりも軽かったりします)、長くてバランスが悪いので、予想以上に重く感じます

ゴルフにおける問題は、野球やテニスと違って、ボールが空中に浮いておらず、地面の上に直接ボールが置いてある点です。ボールまでの距離(目測)をあやまると、たいへんな事態におちいります 笑

具体的には、ボールを打つ前に、ボールまでの距離が予想以上に伸びてしまうと、クラブで地球(地面)をたたくミスが発生します。クラブで地面をたたくことを、「ダフる」といいますが、ダフると身体に衝撃がかかりますし、それを嫌がって、無理な力が関節に働いてしまうこともあります。

ゴルフは、鉄のかたまり(クラブヘッド)を、時速150キロぐらいのスピードで振ることになりますので(高速道路のクルマよりも速いです)、最初は違和感があると思いますが、できることなら焦らず正しいグリップを習得して、楽しく安全にゴルフに取り組んでください!

左手を右に回す理由

ゴルフクラブはバランスが悪くて、先端が重く、自分からみて右側が重くできております。

クラブは、地面に対するシャフトの角度にルールがあり(ライ角)、プレーヤーが、身体を前に傾けて、腕とシャフト(手首)に120度ぐらいの角度をつけないと、構えられない構造になっております。

クラブの先端が異常に重く、120度の手首の角度を維持するのがやっかいです。この対策をほどこさないと、スイング中の遠心力で、手首の角度が開いて、地面をダフってしまいます。

対策としては、シャフトに対して、左手の手のひらを上からおさえつけるようにする必要があります。このときに左手を右に回します。

そして、重心が、シャフトの右側にズレているのがゴルフクラブの特徴となります。野球のバットやテニスのラケットが、シャフト(軸)と重心が一致していると大きく違う点です。

クラブの重心が右にズレている点を考慮して、左手を右側に回すと、バランスがとりやすくなる点も、左手を右に回す理由の1つです。

左手の人差し指と手のひらだけで、クラブの重さをささえられるように練習してください!

グリップは雑巾しぼりのイメージ

「たかがグリップ、されどグリップ」。世界の青木功さんも、若い頃に「これだ!」と感じたグリップを忘れないために、寝る時にガムテープで手とクラブをぐるぐる巻にしていたと聞きます。

トッププロのなかには、左利きで右打ちの方がかなりいらっしゃいます。挿絵に使っているベン・ホーガンさん、岡本綾子さん等。

ゴルフは、原則として右手にグローブをしないところも、改めて考えると不思議な話です。私見ですけど、右手の力でクラブを押してボールを打つと、クラブの動きが安定しないからだと思います。物を後ろから押すよりも、前から引いた方が安定します。

ゴルフは右手が余計な邪魔をしないことが大切です。主に中指と薬指を使ったり、小指をはずして左手にひっかけるなど、100年ぐらいの積み重ねのなかから改良が加えられて、現在の基本とされるグリップが構築されております。

最初は違和感だらけだと思いますが、できましたら、基本通りのグリップでゴルフを始められると良いと思います!

グリップ先生

グリップは、身体とクラブの唯一の接点となりますので、とても大切です。初心者さんにとっては、最初はとても違和感があり、なぜそこまでグリップにこだわるのかと疑問に感じると思いますが、ゴルフは、5ミリ、1センチの精度を要求されるスポーツなので、最初にきっちりおさえるべき点をおさえておいた方が良いと思います。

タイガーウッズや石川遼くんレベルの超トッププロでも、スイングに悩むのがゴルフです。調子が悪いときに、チェックするポイントが多いと、どこが不調の原因なのかを特定するのが困難になります。

グリップは、ボールを打たない状態でも確認できますので、最初は打ちにくくてたいへんだと思いますが、ぜひとも習得してください!

左手のグリップのポイントは、
・グリップを指2本分余らせる、
・小指の下の手のひらの肉でクラブをささえる、
・親指と人差し指の間で作られる線が右目や右肩を指すようにします。

右手のグリップは、
・中指と薬指でシャフトを引っ掛けるようにぎり、
・右手の小指を、左手とからめるのが基本です、
・親指と人差し指で作られる線が鼻や右目あたりを指すようにします。

基本といわれるグリップは上記のとおりですが、ゴルフは生涯スポーツですので、徐々にご自分にあったグリップを探していくのもゴルフの楽しみの1つです。

トッププロにおいても、グリップには千差万別の個性がでますので、色々と試してみるのも良いと思います。

ただ、ゴルフの調子が悪くなってきたときに、少なくともグリップだけは間違いないという切り分けをしたくなることがあります。

そのような場合、なにかしらの基準があると原点に戻りやすくなります

グリップのカタをもした練習器具が市販されておりますので(グリップ先生)、お手元に1つおいておくのもありだと思います。

タイガー・ウッズ
デシャンボー
アン・ソンジュ