下回りスイングの定義2

下回りスイングについて、動画でご説明をさせていただいております(再生リストのリンク)。
https://youtube.com/playlist?list=PLDnNzUzOkLPLNGflW8I_VrkCaoeqK6xdM

上回り、下回り、どちらにも回らない

切り返しからダウンスイングにかけてのクラブの動きは、自分から見て、
・ヘッドを前倒しするのか(左回り)、
・後ろ倒しするのか(右回り)に分かれ、
デリバリーポジションで、ヘッドとグリップの位置が合流します(飛球線後方から見ると、ヘッドとグリップが重なります)。

次に、デリバリーポジションからインパクトにかけて、
・右手が左手の「上を回る」のか(上回りスイング)、
・右手が左手の「下を回る」のかが(下回りスイング)、論点となります。

下回りスイングの特徴としては、ビジネスゾーンで、
・右手が左手の下を回り、
・グリップが前、ヘッドが後ろの位置関係を保ちながらインパクトします。

片山晋呉プロ等が最近取り組んでらっしゃるのは、体の回転を使う打ち方で、手をなるべく使わないスイングです。

フェースローテーションをおさえて、ミート率の向上を目指し、地面反力等も用いながら、ボディーローテーション(ピボット運動)を元にヘッドスピード(飛距離アップ)をはかってらっしゃいます。

スイングの分類としては、
・以前の日本の男子プロやレッスンの現場に多かった、右手を返す打ち方(上回り)、
・欧米に多い下回りスイングに加えて、
・なるべく「上にも下にも手を回して使わない」という打ち方に分かれます。

狭義の下回りスイング は 狩猟型(欧米型)

デリバリーポジションからインパクトにかけて、
・右手が左手の「上」を回るのか?(上回りスイング)、
・「下」を回るのか?(下回りスイング)、
・手をなるべく動かさないスイングなのか?

GGスイングなどは、なるべく手に余計な動きをさせずにスイングします。アームローテーションを少なくして、いわゆるシャットフェースにすることが多いです。

シャットにして、切り返しからヘッドを後ろ倒し(右回り、シャロー)に使いながら、そのまま体の回転でヘッドをボールにぶつけていきます。

切り返しから後ろ倒し(右回り、シャロー)にして、手をシャットに使うと、右手が左手の下にきてインパクトする形になるので、最近では、シャロー(右回り)のスイングのことを、一般に、下回りスイングとして同じ意味で使われることが増えてきました(ここでは広義の下回りスイングと呼びます)。

下回りスイングを提唱したのは、イメージシャフトさんです(狭義の下回りスイングを提唱されました)。

http://imageshaft.com/

厳密な意味での下回りスイングというのは、下回り=狩猟型と定義されます。狩猟型というのは、クラブを弓矢などの道具にみたてて、獲物(目標方向)にめがけて力を発するようなイメージです。

グリップが先(ヘッドが後ろ)の形で目標方向につっこんでいくので、もはや上にも下にも回っていないのですが、、、

GGスイング等の広義の下回りスイングは、グリップを支点として、ヘッドを前(目標方向)に動かすイメージのため、「グリップが先(ヘッドが後ろ)の原則」がくずれます。

そのため、GGは、厳密な意味でいうと、狭義の下回りスイングではないという定義になります(広義の下回りスイングとなります)。

下回りスイングの定義

狭義の下回りスイングは、
・インパクトの前後で右手が左手の下を回り、
・グリップが前(ヘッドが後ろ)のままインパクトをむかえ、
・腕とクラブで井桁崩しの動きを使います。

井桁崩しというのは、(一時流行りましたが)ナンバ走り等、古武術的な考え方です。振り子の動きとは微妙に異なります。固定される点がなく、腕とクラブで作る四角形が、形を変えながら連続的に動いていきます。

デリバリーポジションから、上回りと下回りで動きが違う点は、
・上回りは、親指が上から地面に向けてかぶせていくような動き方をするのに対して、
・下回りは、一旦親指が、目標方向の後ろから下を向いていきます(詳しくは動画をご参照ください)。

親指が下を向いた状態を作り、芋堀りをしているようなイメージで、地中の芋のつるを引っこ抜くように、グリップから目標方向につっこんでいきます。

また、両手でテコの原理を使いますが、右手が左手の上からくるんとかえる、いわゆる典型的な上回りスイングの場合は、一般的なテコ(第一種のテコ)を使う一方、下回りは、第三種のテコを使います。

上回りスイング = 農耕型

右手を上からかえす、典型的な「狭義の上回りスイング」の定義は、
・インパクトの前後で右手が左手を上を回り、
・ヘッドがグリップを追い抜き、
・グリップを支点にして振り子運動をします。

一時期ツイスト打法などが流行りましたが、上回りスイングとは、極端なことをいうと、体の動きにブレーキをかけて、「クルマがどこかに衝突したときに、乗員が前に放り出されてしまう」ように、クラブが目標方向につんのめる動きを利用します

日本のゴルフレッスンでは、「左の壁」、「膝の高さを変えるな」という指導がありますが、それらは、体の動きにブレーキをかけるための「上回り」のメソッドとなります。

日本人は、ノコギリ、和包丁、農作業のクワなどを、引いて作業をする習慣があります。

上回りスイングは、どちらかというと、押すというよりは、クラブを自分の方に引きつけるようなイメージであり、もしかすると、日本人にとっては馴染みやすい体の使い方なのかもしれません。

・上回りスイング = 農耕型 = クラブを体に垂直にして引いて使うイメージ、
・下回りスイング = 狩猟型 = クラブを体に平行にして、目標方向に押して使うイメージとなります。

右手が左手の下から回っても、下回りスイングではない

上回りと下回りのスイングの違いを整理します。

・インパクト前後の右手と左手の位置関係
上回り:右手が上、下回り:右手が下

・グリップとヘッドの位置関係
上:ヘッドが先、グリップが後
下:グリップが先、ヘッドが後

・振り子か井桁崩しか?
上:グリップを支点とした振り子
下:井桁崩し

・体とクラブの位置関係(垂直、平行)
上:垂直。インパクトはアドレスの再現。体の正面にクラブが垂直に戻ってくる。
下:平行。腕とクラブが体とズレて遅れた形でインパクトする。シャフトは体に平行のイメージ。

GGスイング等は、
・切り返しでヘッドが後ろ倒し(右回り、シャロー)になり、
・デリバリーポジションから右手が左手の下を回ったとしても、
グリップを支点に、ヘッドがグリップを下から追い抜く形になるため、
厳密にいうと、狭義の下回りスイングとはいえません(広い意味での下回りスイングになります)。

上回りスイングは 第一種のテコ

上回りスイングは、ダウンスイングで、親指が上を回って地面に向かい、下回りスイングは、親指が目標方向の後ろから下を向いてデリバリーポジションまで向かい、インパクトにかけて地面から根っこを引き抜くようなイメージで小指から目標方向につっこんでいきます。

・上回りは、第一種のテコ(右手を支点にして、左手を目標方向の後ろに引くイメージ)
・下回りは、第三種のテコ(左手を支点にして、右手でクラブを目標方向に押すイメージ)

クラブの動きは、切り返しから、前倒しなのか(左回り)、後ろ倒しなのか(右回り、シャロー)に分かれ、
デリバリーポジションでいったん合流し、そこから、上回り、下回り、GGスイング等何もしない動きの3種類に分かれます。

GGスイング等、なるべく手を使わないスイングは、切り返しから、右手が左手の下に入るイメージでスイングをするため、広い意味での下回りスイングと呼ばれるようになってきました。しかし、厳密にいうと、ヘッドがグリップを下から追い抜いくため、狭義の下回りスイングとはいえません。

狭義の下回りスイングというのは、グリップが前(ヘッドが後ろ)の位置関係のままスイングします。

シャットのシャロースイングは、狭義の下回りスイングではない

切り返しから、後ろ倒し(右回り、シャロー)にヘッドを回し、デリバリーポジションからインパクトにかけて、右手を下から上に回すのが、広い意味での下回りスイングですが、
・フォローで、右手を下から上に向けて立てる打ち方や(シャフトを立てる打ち方)、
・左手首を、掌屈から背屈側に曲げてリリースする打ち方などがあります。

インパクトの前後で、右手が左手の下を回っており、これらのスイングは、上回りなのか、下回りなのか・・?

イメージシャフトさんが定めた狭義の下回りスイングの定義は、
・デリバリーポジションからインパクトにかけて右手が左手の下を回り、
・グリップが前(ヘッドが後)の位置関係で、
・井桁崩しを使います。

すなわち、グリップを支点にして、右手が下から上に回るスイングは、広義の下回りスイングといえますが、狭義の下回りスイングではないという結論になります。

また、広い意味での上回りスイングといえますし(狭義の下回りスイングではないので)、しかし、狭義の上回りスイングでもありません(右手を左手の上からくるんと返していないからです)。