下回りスイングへの道のり、背景、歴史2

時代は同じようなところをぐるぐると回っている

練習器具のイメージシャフトの開発者さんは、2013年頃に、下回りスイングのセミナーを始めてらっしゃいます。当時の世の中は、上回りスイング・前倒し理論の全盛期でしたので、ものすごいアゲンストだったと想像できます。

うちのスクールでも、数年前から下回りスイングの話をするようになりましたが、今でこそ片山晋呉さんやゴールドワンゴルフさんの影響なのか、特段違和感をもたれなくなってきましたけれど、当時は「アームローテーションをしないスイングなんてありえない」と、お怒りになるお客様もいらっしゃいました。「ローテーションをしない」とは言ってないんですけどね。右手は下から回りますと 笑 

時代はぐるぐる同じようなところを回っており、今でこそローテーションをおさえた「シャットでシャローなスイング」が流行っておりますが、数年前までは、日本中で「右手が左手の上を回るスイング」がおこなわれておりました。

しかし、2000年代の一時期、ローテーションをおさえたスイングが世界中で大流行したことがあります。当時シャローという用語は、インパクトの直前直後で、ヘッドを地面すれすれに(浅く)操作しましょうという意味で使われており(今でもその意味は残っておりますが)、ドライバーも徐々に大型化しつつあって、「21世紀の最新スイングとはなんぞや?」という話題にあふれておりました。

ダウンスイングで右足の前でフルリリースをして、そこから手の形を変えずに、ボディーターンで体を左に回すのが最新理論であーると。タイガーウッズも一時期取り入れましたが、すぐにやめてしまいました 笑  それでも、レッスンプロの皆さんが飛びついて、佐良直美さんばりに「21世紀、21世紀」と大騒ぎしておりました。

タイガーって、しょっちゅうスイング改造をして、しかも、成績が落ちないので(昔の話ですが)、レッスンプロとしては、商売のネタがつきないので、本当にありがたい存在ですね(皮肉です)。

桑田泉 ティーチングプロアワード最優秀賞(2010年 )。武市悦宏 レッスンオブザイヤー受賞(2013年 )

ここ10年ぐらいのゴルフ界の流れをおさらいしますと、前半は、前倒し・上回り理論の全盛期をむかえておりました(敬称略)。

  • 2010年 桑田泉 PGAティーチングプロアワード最優秀賞(クォーター理論、前倒し、上回りスイング)。ダフれ、ボールを見るな、手打ちしろ。
  • 2013年 武市悦宏 レッスンオブ・ザ・イヤー。前倒し、上回りツイスト打法。
  • 2014年 マーク金井考案の「ゴルフの竪琴」を片山晋呉、石川遼が使用。上回りスイング練習器具。「右手が上!」
  • 2014年 WGSL(前倒し理論)YouTubeチャンネル開設

森守洋「クラブは常に時計回り」。G1スイング「裏面ダウン」。新井淳「投げ縄状態」

前倒し・上回り理論が全盛だった2010年代の前半、一部のレッスンプロさんのなかには、一環して「後ろ倒し」を主張される方もいらっしゃいました。

2000年代 森守洋氏、ゴルフクラブは常に右回り(時計回り)をすると、今も昔も変わらずに主張してらっしゃいます。

2007年 ゴールドワンゴルフスクールさんがYouTubeチャンネルを開設。切り返しからクラブは「裏面ダウン」(後ろ倒し)すると理論展開されました。

2015年 スコアパーソナルゴルフ新井淳氏、「後ろ倒し」という用語を普及させたのは、新井さんではないでしょうか?
M-Tracerという「クラブの軌跡をトレースできるアプリのデータ」をもとに、切り返しからクラブは後ろ倒しするというエビデンスを明示されました。

上回りスイング元年(2019年)

2010年代の後半から、徐々に、右回り(後ろ倒し)スイングが話題になってきました。

2017年 三觜喜一氏、ゴルフスイングは、「左ハンドル、右ハンドル、左ハンドル」という理論を提唱。(切り返しは右ハンドル(後ろ倒し))

2017年 マーク金井氏、前倒し養成器具の「ゴルフの竪琴」のブログ記事更新ストップ。

2018年 パッシブトルクというゴルフ用語が話題になる(切り返しは後ろ倒し)。

2019年 片山晋呉氏 スイング改造(GGスイング)に取り組み開始。

2019年 和田泰朗氏 キープレフト理論(2点吊り子)、右手が下。

2019年 マーク金井氏、「ゴルフスイングの答えはひとつではありません」宣言。http://www.analyze2005.com/mkblogneo/?p=23403

2020年 片山晋呉氏、チャゴル理論、吉田直樹氏LPスイングを取り入れる。

2019年以降、ゴルフスイングの流れは、前倒しから後ろ倒しになってきました。

Googleトレンド(下回りスイング、シャロー、WGSL)

Googleトレンドで、下回りに関係する用語を調べてみると、「下回りスイング」というのは、2020年頃から急に話題になってきたことが分かります。

シャローについては、インパクトゾーン付近のヘッド軌道に関する用語として10年以上前から話題になっておりましたので、じゃっかん用語の意味が変わってきておりますが、今にいたるまで検索され続けております(今のシャローは、切り返し後にクラブを後ろ倒しする意味で主に使われております)。

前倒し理論で有名なWGSLですが、2014年頃に突如現れて、最近は「後ろ倒し」におされつつあるものの、いまだに影響力があるのはすごいですね。

計測機器の進化(モーションキャプチャー、ハイスピードカメラ)

前倒し・上回りスイングが全盛の2010年代の前半頃までは、特段意識することもなく、テークバックで腕を右にねじるのだから、ダウンスイングは、腕を逆に左にねじれば良いと、誰もが思い込んでおりました。

ベンホーガンのモダン・ゴルフの有名な絵の印象が強烈すぎて、腕はぐるぐるねじるものだと、刷り込まれていたこともあると思います。

しかし、2010年代の後半頃から、トッププロの詳細なモーションキャプチャーを見ることができるようになり、それによると、あまり腕をぐるぐる回していないことが判明しました。切り返しからダウンスイングの途中までは、左腕が右に回り続けていることが分かり、実は、前倒しではなくて、後ろ倒しが正解でしたと!

また、クロージャーレートとよばれる数値(単位時間あたりのフェースローテーション)も測定できるようになり、世界のトッププロは、予想以上に、フェースローテーションをしていないことも分かりました。

上回りスイングも間違いではありませんが(ルークドナルドプロ等、実績のある選手もいらっしゃいます)、しかし、世界の主流は、後ろ倒し・下回りスイングであることが分かり、片山晋呉さんが下回りに転向したことでブーストがかかったのか、2010年代の後半からは、ゴルフ界の流れが、上回りから下回りに完全に変わっていきました。